“かなちょろ”の挨拶
出会い
最初に彼(彼女だったらごめん)に会ったのは2019年8月初め。
いつものように朝出勤して民宿南側のドアを開けて中に入ろうとしたときです。ドアの右側から小さいものが走り出し私の前を横切りました。そいつは、古材置き場の前で一旦立ち止まって私の顔を見たあと(そう思いました)、古材の間に消えて行きました。
“かなちょろ”でした(この辺では小さいトカゲのことを“かなちょろ”といいます)。そのときは、「人間が入ってくると思わなかったんだろうな、もう二度と現れることはないだろう。」と思いました。

ミステリーサークル
ふと彼が走り出したあたりをみると、そこだけ土間としてはサラサラな土なんですが、まるでUFOが付けたミステリーサークルのような大小の円形模様が描かれています。「もしかすると…?」と思いましたが、かなちょろがミステリーサークルを作るなんて聞いたことがないので、何かの偶然だろうぐらいにしか考えませんでした。
しかし、その後何度ホウキでならしても、中心に小指ほどの太さの穴があるアリジゴクのような円い模様ができるのです。かなちょろの家の出入り口?まさか…。

再会
そのあと彼には二度遭遇しました。
二度目の8月27日は良く晴れた日でした。日向ぼっこをしている彼はかなり近づいても逃げようとしません。
体長およそ15㎝、全体が地味な薄茶色で体の横に黒のラインが入ったシックな装いです。写真を撮ってググってみると「ニホントカゲ」の成体のよう(幼体は瑠璃色に輝く)。
さらに検索すると、生息地と目と鼻の間の模様から「ヒガシニホントカゲ」という種類のようでした。
彼はコンクリートの割れ目を出たり入ったりした後、勝手口の引き戸のレールに右足(後肢)を乗せ、両手(前肢)と左足を後ろに伸ばした超リラックススタイルで30分以上もフリーズ。まるで休日の朝のどこかの奥様のようです。
気がつくと、彼に話しかけている自分がいました。そのうち見えなくなりましたが、彼が近くに住んでいるのは間違いありません。今度会ったら、名前で呼んでやろうと思います。「おはよう!”そのまんま”」。(そのままの姿勢で動かない東日本トカゲと“そのまんま東”を掛けて命名)

かなちょろの挨拶
残暑厳しい9月10日の午前11時、その信じられない出来事は起きました。
民宿南側の軒下で仕事をしていたときです。ふと視線を感じて(本当です)振り返ると、そこには50cmほど離れたところから私を見上げる彼がいました。2週間ぶり4度目の対面です。
元気そうな様子にホッとしながら、今度会ったら名前を呼んでやろうと思っていたので、驚かしてしまうかなと思いながら声を掛けました。
「おはよう!そのまんま」。
次の瞬間、私は目を疑いました。彼が私の方にちょろちょろと近づいて来たのです。
一瞬「ヤバイ…」と思いましたが、かなちょろに噛まれたという話は聞いたことがないので、そのままじっとしていました。彼は私の右の靴に触れそうなほど近づくと、私を見上げながら(たぶん)ちょろっと舌を出したあと、おもむろに瓦礫の間に消えて行ったのです。
この地で生まれ育ち多くの生き物に接した私ですが、人間を認知しながら自分から近づいて来る爬虫類はみたことがありません。
私は確信しました。彼は私に挨拶を返したのです。
「友達になってもいいよ!」と。
最初に彼(彼女だったらごめん)に会ったのは2019年8月初め。
いつものように朝出勤して民宿南側のドアを開けて中に入ろうとしたときです。ドアの右側から小さいものが走り出し私の前を横切りました。そいつは、古材置き場の前で一旦立ち止まって私の顔を見たあと(そう思いました)、古材の間に消えて行きました。
“かなちょろ”でした(この辺では小さいトカゲのことを“かなちょろ”といいます)。そのときは、「人間が入ってくると思わなかったんだろうな、もう二度と現れることはないだろう。」と思いました。

ミステリーサークル
ふと彼が走り出したあたりをみると、そこだけ土間としてはサラサラな土なんですが、まるでUFOが付けたミステリーサークルのような大小の円形模様が描かれています。「もしかすると…?」と思いましたが、かなちょろがミステリーサークルを作るなんて聞いたことがないので、何かの偶然だろうぐらいにしか考えませんでした。
しかし、その後何度ホウキでならしても、中心に小指ほどの太さの穴があるアリジゴクのような円い模様ができるのです。かなちょろの家の出入り口?まさか…。

再会
そのあと彼には二度遭遇しました。
二度目の8月27日は良く晴れた日でした。日向ぼっこをしている彼はかなり近づいても逃げようとしません。
体長およそ15㎝、全体が地味な薄茶色で体の横に黒のラインが入ったシックな装いです。写真を撮ってググってみると「ニホントカゲ」の成体のよう(幼体は瑠璃色に輝く)。
さらに検索すると、生息地と目と鼻の間の模様から「ヒガシニホントカゲ」という種類のようでした。
彼はコンクリートの割れ目を出たり入ったりした後、勝手口の引き戸のレールに右足(後肢)を乗せ、両手(前肢)と左足を後ろに伸ばした超リラックススタイルで30分以上もフリーズ。まるで休日の朝のどこかの奥様のようです。
気がつくと、彼に話しかけている自分がいました。そのうち見えなくなりましたが、彼が近くに住んでいるのは間違いありません。今度会ったら、名前で呼んでやろうと思います。「おはよう!”そのまんま”」。(そのままの姿勢で動かない東日本トカゲと“そのまんま東”を掛けて命名)

かなちょろの挨拶
残暑厳しい9月10日の午前11時、その信じられない出来事は起きました。
民宿南側の軒下で仕事をしていたときです。ふと視線を感じて(本当です)振り返ると、そこには50cmほど離れたところから私を見上げる彼がいました。2週間ぶり4度目の対面です。
元気そうな様子にホッとしながら、今度会ったら名前を呼んでやろうと思っていたので、驚かしてしまうかなと思いながら声を掛けました。
「おはよう!そのまんま」。
次の瞬間、私は目を疑いました。彼が私の方にちょろちょろと近づいて来たのです。
一瞬「ヤバイ…」と思いましたが、かなちょろに噛まれたという話は聞いたことがないので、そのままじっとしていました。彼は私の右の靴に触れそうなほど近づくと、私を見上げながら(たぶん)ちょろっと舌を出したあと、おもむろに瓦礫の間に消えて行ったのです。
この地で生まれ育ち多くの生き物に接した私ですが、人間を認知しながら自分から近づいて来る爬虫類はみたことがありません。
私は確信しました。彼は私に挨拶を返したのです。
「友達になってもいいよ!」と。